「子どものサッカーにおける7つの心得」


小野 剛氏著「クリエイティブ・サッカー・コーチング」に掲載されていた
ノルウェーサッカー協会のスローガン「子どものサッカーにおける7つの心得」の全文です。

1. 子どものサッカーは「遊び」であり、それは「楽しく」なくてはなりません!

    子どもたちが初めてピッチで行うサッカー、それは「ハードワーク」ではなく、「遊び」
   であるということを忘れないで下さい。第一印象がとても大切です。すぐに、子どもたち
   の生活の一部となるようにしてあげて下さい。子どもたちを遊ばせてあげて下さい。楽
   しませてあげて下さい。そして、何よりも、指導者は試合の「結果」ではなく、子どもたち
   がプレーを「楽しむ」姿に満足して下さい。

2. 子どものサッカーで最も大切なことは、仲間と一緒にプレーすることです。

    むかし、私たちは公園や近所の芝生で友人と会い、サッカーをしていました。そこに
   は「楽しさ」があったはずです。現在でも大切なのは、子どもたちが仲間と一緒にサッ
   カーをすることなのです。この友情がチームスピリットを築いていくことになるでしょう。

3. すべての子どもに同じ時間プレーさせてあげて下さい!

    ベンチに座っていてうまくなる子どもはいませんし、誰もがプレーをしている時が楽し
   いのです。その一方で、誰が将来優れた選手になるかわかっている人もいません。な
   ぜなら「少年のスター」が「大人のスター」になることはむしろまれなのですから。地域
   のチャンピョンシップはそれ自体が目標ではありません。誰もが同じ時間プレーできる
   ようにしてあげて下さい。誰もが先発メンバーになれるようにしてあげて下さい。いろい
   ろなポジションを経験させてあげて下さい。

4. 子どもたちに「勝ち」と「負け」の両方を学ばせて下さい!

    子どものサッカーで大切なことは、試合でも練習でも力を均等にすることです。誰も負
   けたくないし、かといって2倍の得点で勝ってもおもしろくないはずです。「勝ち」「負け」
   の両方を受け入れることを学ばせて下さい。大人が「負け」を受け入れることができたな
   ら、子どもたちもそれを自然に学ぶことができるでしょう。サッカーは誰もが勝ち、そして
   誰もが負けるチームスポーツです。勝てば、誰もがその勝利を「自分のもの」として家ま
   で持ち帰り、負ければそれは皆で分け合えばよいのです。

5. 対外試合よりも、クラブでの練習を!

    一般に、子どものサッカーでは試合よりもクラブでの練習の方が多くあるべきで、チー
   ムの練習以外に自分で行う練習がとても大切です。しかし、試合が多すぎるとそうした
   自主的な練習だけでなく、サッカー以外のスポーツや活動をも妨げてしまいます。10歳
   以下の子どもたちは年に20試合以下、11〜12歳の子どもは年に25試合以下にすべ
   きです。
   ※1 ここでいう試合というのは対外試合(Match)の意味で、練習というのは、クラブで行うサッカーを示し、すな
       わちそのほとんどは、スモールサイドゲームなどのゲームです。すなわち、「移動時間で子どもを拘束 す
       るのを極力避け、自分のクラブ、あるいは隣のクラブとの中で楽しく行える工夫をしましょう」といった意味
       です。


6. 子どものサッカーには、バラエティーに富んだ活動が大切!

    オールラウンドなスポーツ経験は、サッカーのスキル向上に大いに役に立ちます。子
   どもたちには、いくつかのスポーツに参加するように勧めてあげて下さい。またそれが
   可能なようにコーディネートしてあげて下さい。冬においてはサッカーは自主参加にすべ
   きでしょう。そして練習に1年を通しては加わらない子どもでも、チームの中で同様にプレ
   ーできるように配慮してあげることが大切です。
    ※2 ノルウェーでは、冬季にはスキーやスケートをする子どもたちも多く、そのような子どもに門戸を閉ざさず、
       様々なアクティビティを尊重してあげることがサッカーにとってもプラスになるという意味です。


7. 子どもにとっての「楽しいサッカー」に一緒に作りあげていきましょう!

    子どものサッカーは、またゲームをしたいと思わせるようなポジティブな経験でなくては
   なりません。そのような楽しいゲームの中でグループにおける役割や、身体面の強化を
   図っていくべきでしょう。大人は、子どもの「誰もが」サッカーを楽しんでいるかどうかを確
   認してあげて下さい。そして指導者は常に手本であることを忘れないで下さい。子どもは
   "真似の天才"です。そして、あなたの「言ったこと」ではなく、あなたの「行い」を真似るの
   です。