「こんなコーチングを心がけよう」


小野 剛氏著「クリエイティブ・サッカー・コーチング」に掲載されていた
「こんなコーチングを心がけよう」の全文です。

1. OPEN MIND −オープンマインド−

    最も重要なファクターです。過去に輝かしい経歴があるが故にオープンマインドになれな
   い指導者もみかけますが、コーチがオープンマインドになれなければ、指導される選手も
   オープンマインドになれるはずがありません。結局損をするのは、向上するチャンスを逃し
   てしまうコーチ自身です。

2. CHEERFUL COACHING −励ます指導を心掛けよう−

    Fearful Coaching(恐怖の支配するコーチング:疑問に思ってもとても口に出せないような
   雰囲気)に陥る原因は、指導者自身のFear(恐れ)です。すなわち、知識の欠如や指導力
   の無さ故、質問を受け付けないような雰囲気をつくってしまうのです。Cheerful Coachingの
   実践すなわち、わからないこと、疑問に思ったことなどを、選手が気軽に質問できる雰囲気
   をつくってあげるためには、コーチ自身が正しい知識を持ち、それを必要に応じて引き出す
   ことができるように整理しておくことが必要です。

3. PERSUADE! RATHER THAN DOMINATE
   −頭ごなしの命令にならず、選手自身が納得できるように指導してみよう−


    頭ごなしの命令では、クリエイティブな選手は育ちません。内面に働きかけ、選手自身に
   納得させ、自らの判断で行動を起こすことを促していきましょう。そのためにも不可欠なの
   がそれぞれのテーマのキーファクターをしっかり理解し、整理していることです。
   ・ そこはこうしろ!いいから言われたとおりにやれ!→×
   ・ それではこんなに損だよ!こうすればこんなに得するよ!→○

4.M-T-M Method
   −Match-Training-Matchの流れをトレーニングに生かそう−


    サッカーは、すべて逆算の発送によっています。プレーにおいては、ゴールを奪うこと。
    選手育成では、完成期にこんな選手になってもらいたいということ。トレーニング計画で
    は、〜の時期に完成させたいということ。そういうものがあるから、それぞれ「今何をしな
    くてはならないか」がはっきりするのです。同様に、1日のトレーニングも最後のゲームか
    ら逆算して組み立ててみましょう。

5.LET THEM PLAY! −まずはやらせてみよう!−
  LET THEM MAKE MISTAKE! −その中でどんどんミスさせてあげよう!−
  THEN STEP IN! −それからがコーチの出番!−


     練習前にそのトレーニングのキーファクター等すべてを話してから始めるコーチもいま
    すが、活動前の長い話は、選手のモチベーションを高めることにはつながりません。また、
    先に解決法を与えるのではなく、選手自身が解決法を見出す能力を身につけさせてあげ
    ましょう。そのためには、出てくるミスを大切にしてあげなくてはなりません。特に、M-T-M
    のはじめのゲームでミスが顕著化されるような工夫(ピッチサイズ/ゴール/意識付け…)
    をすると、より効果的です。それからが、コーチング。選手が困っているときが、最大のモテ
    ィベーションで学べるときです。

6.COACHING IN THE GAME −ゲームの中でコーチングできるように−
 
     実践的なスキルを養成するには、実践的な状況の中で高めることがベスト。そのためには
    ゲーム(スモールサイド)をうまく活用して、その中で(終わってから話すのではなく)コーチン
    グできる能力を身につけましょう!

7.FOCUSED COACHING −焦点を絞ったコーチングを心掛けよう−

     練習にはテーマが必要。かける言葉も、そのテーマにそったものにしましょう!出てきた現
    象に対していちいち指摘する -Random Complaints- にならないように!

8.GOOD STANDARD −よい手本となろう−

     フェアプレー、ディシプリン…選手の教育にとって非常に大切なものです。しかし、大切なの
    は言葉以上にコーチの態度。「フェアプレー」を100回言い続けても、試合中に「何で今のが
    ファウルなんだ」などというコーチの一言で、選手達はそちらになびくはずです。子供にとっ
    て、コーチの言うこと以上に大切なのが、コーチの行いなのです。